畑はせまいんだけどスイカを栽培したい...。そんな貴方っ!立体栽培なんて如何ですか?


ピノ・ガールを家庭菜園で栽培していて毎度思うのだが、やはりこの品種はとても栽培しやすい。草勢が強いのに着果が良い。放任栽培で多数果実を着果させてもバテずに持って行ける、粘りのある草勢。そして安定した糖度。さらにタネまで食べられるマイクロシードタイプ。
小玉スイカを栽培しようとお考えの方には、忖度無くオススメ致します!


写真 さて、そんなピノ・ガールですが、良く「ピノ・ガールの立体栽培」は出来ますか?と言うお問い合わせを頂きます。弊社の研究農場の展示圃では、たまに行われているのを見るのですが、私は実際に「ピノ・ガールの立体栽培」をやったことがありません。

良い機会ですので、自分の菜園で「ピノ・ガール立体栽培」を実際にやってみましたよっ!
左画像は農場の展示圃です。私の栽培じゃないよ!(^_^;)


写真 栽培スタイルとしては、ツル物ネットを使用した「エンドウ豆スタイル」で行こうと思います。幅1m×高さ1.8m、支柱を3本使用しツル物ネットを展張します。片流し地這い栽培を、そのまま起こした感じですね〜。

写真 さて、今回栽培するピノ・ガールの苗は、自家育苗で作成した「呼び接ぎの接木苗」。この圃場は実生苗でも特段問題ありませんが...。

せっかく育苗したのでこれで行きます。台木は夕顔「ピタット君」、栽培しやすい台木です。


写真 マルチに穴を空け定植します。しっかりと植え穴潅水を行い、やや浅植えにします。

定植が終わったらツル物ネットを展張します。これでスタンバイOKです。


活着不良について考える。
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写真
無事スムーズに活着し、親ヅルは順調に生育していきます。


ネット幅まで親ヅルが伸びてきたら、ここで親芯を摘芯します。


写真 しばらくすると、各節から子ヅルが伸びてきます。ある程度の長さにならないと誘引しにくいので、しばらく放置します。

うっかりツルを踏みつぶさないように...。


たまに「グシッ」と言う音と供に、メンタルをやられます。


写真 手前側に伸びてきた子ヅル5本と株元から出てきた1本が誘引しやすそうですね〜。この6本で今回は行きましょうか!

立体栽培、子ヅル6本整枝と致しましょう。


今回使用しなかった反対側に出た子ヅルは、ツル先だけ摘んでほおって置けば良いです。


では、いよいよ立体栽培に移行します。子ヅルをネットに誘引していく訳ですが、まずは、整枝栽培の基本「生長点を揃える」を行います。進んでいる子ヅルは引き戻し、ザックリと生長点の位置を揃えて光線条件を整えてやります。
この生長点を揃えると言う作業は、今後のツルの生育を揃えると言う意味で、非常に重要でスイカ、メロン、カボチャ等ツル植物の立体・地這いは勿論、露地・トンネル・ハウス問わず整枝栽培には必須作業になります。ぜひとも各作物にも応用して下さい、確実に貴方の菜園レベルはひとつ上がります。

これ以降は仕立てが今回ネットで、巻きヒゲが絡んできますので生長点を揃えることが出来ませんが、立体栽培なんでやむなしと致します。


写真 もし、通常の地這い栽培だった場合は、交配前にもう一回ツルを引くと思いますので、そこでもう一度生長点を揃えてやると、以降の生育が「ピッ」と揃い、開花も揃ってきます。プロの技術になります。

つまりこう言うことです。バシッと揃っていて格好いいですね〜。

私の菜園じゃ無いけどね〜(^0^;)


生育は進み、グングン子ヅルは伸びていきます。スイカのツルは、ゴーヤやキュウリなんかと違い、垂直に伸長するのはやや苦手。巻きヒゲが絡みつく前に垂れ下がってきます。ですので、ある程度伸長したら、洗濯ばさみ等でネットに止めていかないといけません。
洗濯ばさみをひとツルに2個ずつ用意して、交互に付け替え止めていきましょう。程なく巻きヒゲがネットに絡みつき、子ヅルは固定されていきます。


写真 定植からザックリ1ヶ月、そろそろ交配を始めようかな〜と思っていたら、足元にすでにゴルフボール大のピノ・ガールが1個着果しているのを発見。お前、どこから来たん?どうも裏から遊びヅルが1本回ってきていた様子...。

まあええわ、立体6本+地這い1本の7本整枝に方針転換っ!


人工交配にチャレンジ!

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写真 とりあえず、定植から30日(理想は35日〜40日が良い)を過ぎた以降に開花した雌花には、人工交配をしていきます。生育は進み、あちらコチラで着果した小さなピノ・ガールがプラプラぶら下がり始めました。ツル引きで生長点を1回しか合わしていないので、バシッと一列着果と言う訳にはいかんよね...。(脇芽とりも気分次第でしかやってないし...)

ハズレのスイカを収穫しないためにも、着果標識は必ず付けましょう。
今回は豆荷札を百均で買ってきて使用してます。
30枚100円ナリ。


積算温度と着果標識のお話し
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写真 スイカは残念ながら、メロンや南瓜とは違い、なりヅルの強度が果重を支えられるほど強くありません。従って、こぶし大ぐらいになったら、何らかの支えが必要になります。今回は、チューリップの球根なんか小分けするアミがあったのでそれを使うことにしました。(ちょっと小さいか..。)

角にひもを結びつけぶら下げます。


さらに生育は進み、合計8果、着果しました。(何か知らんけど予定より1個多い...。まあ、ええわ..。)


さらに生育は進み、草勢は落ち込むことも無く、全果順調に肥大を続けています。やっぱりピノ・ガールは扱いやすい。良い感じです!本職の農家は勿論、スイカの家庭菜園の救世主だわ!
はい〜、それでは収穫を始めますよ〜。収穫開始の草姿と着果位置はこんな感じです。交配から35日目の果実から順次収穫していきます。



良いですね〜、皆、立派なピノ・ガールですよ!糖度は12.5度前後で安定してます。12度を下回った個体はゼロ。1個だけ13度ありました。肉質も良いですよ!シャクシャクですよ!


写真 はい、如何だったでしょうか、ピノ・ガール立体栽培。私もピノ・ガールでやるのは初めてでしたが、やっぱりとても栽培しやすかったです。なんと言いますか、御しやすいと言いますか、素直と言いますか、良い感じの奴ですね、最高ですっ!

で、全果収穫の終わった株をボ〜ッと見ていると「まだ元気やな...」と思ってしまった。季節はまだ7/中旬、二番果いけるんじゃない?

と、言う訳で突然ですがっ延長戦決定!そう、家庭菜園は気分次第♪

さてさて、どんな感じで行きますかね?地這い栽培ではないので、ばさ〜っとツルをひっくり返す事は出来ないし、かといって、このままツルを繁茂させたらさすがに通気も日当たりも悪い...。ふむ、バッサリ散髪するか...。
方針決定!切り戻しスタイルで行きます。ザックリ腰の高さより上のツルはバッサリ切り落とします。草勢維持の為に若くて長いツルを2本残しておこうかな。太ももの高さ辺りにいる脇芽を使います。ネットに誘引し直して延長戦再開!

液肥で一発「喝」を入れ、潅水するとググッと動き始めます。程なくツル先に雌花が見えてきますよ、よさげな雌花を交配していきます。3〜4個つけば良いでしょう。

はい〜、ピノ・ガール二番果3個無事に収穫出来ましたよっ!丁度お盆の真っ最中ですね。暑いです。

しかし、今年も暑い、そして暑いのに天気が悪い、さらに夜も暑い...。さすが奈良盆地、空気が動かない...。あぁ〜1日の積算温度、30℃軽く越えてるよね〜。と、言う訳で交配から28日で収穫してみました。



写真
う〜ん、やはり糖度はイマイチやな11.5度ぐらいか、12度までいかなかった。しかし、食味は良好シャリシャリのシャクシャクです。日照が少くクソ暑い中の二番果なんで、まあ、良しとしますかね。


そして、二番果3個収穫が終わった株を、またしげしげ見ていると、外周部分に良い雌花が咲いているではありませんか...。まだ季節はお盆、温度的には十分...。栽培場所も次の作付け予定はまだ無い...。草勢も十分...。三番果いけるか?

と、言う訳で突然ですがっ再延長戦決定!家庭菜園は気分次第♪

写真 さてさて、今回は切り戻しスタイルではなく、外周部分の光線条件の良い所に咲いた雌花を使い、最短期間で三番果を狙っていきましょう。二番果同様に3〜4個つけば良いでしょう。同じように液肥で一発「喝」を入れてやります。

ツルがゴチャゴチャになり気分的に何ですが、ここは妥協しますっ!


はい〜、ピノ・ガール三番果4個無事に収穫出来ましたよっ!季節は9月中旬、日中はまだ真夏の様相で、ただただ暑い...。

しかし、さすがに9月に入ると、夜温は徐々に落ちてきて気持ち涼しくなって来ましたよ。さすがに二番果の頃より1日の積算温度のカウントは多少ましかな。と、言う訳で交配から30日で収穫してみました。



写真
はいはい、やはり夜温が下がり二番果の頃より日数を稼げただけあって、糖度は12度まで回復しましね。相変わらず食味は良好シャリシャリのシャクシャクです。この時期の、まともな西瓜はチョイとお高い。家族の皆様には喜ばれますな!


さて、ピノ・ガール立体栽培終了です。再延長戦までよく頑張ってくれました。最後に根の状態をチェックしておきますよ。引っこ抜きます!さすがにしっかり根付いています。ちょっとやそっとで抜けないですね。夕顔台木「ピタット君」も良く踏ん張ってくれました!おつかれさまでしたっ!

ウンウン、外見は白く綺麗な根ですよ。断面も確認しておきましょう。ウンウン、維管束も綺麗です。はい〜健全です!
せっかくなんで、呼び接ぎの接合面がどうなっているか見てみましょうか!真っ二つに割りますよ、パっか〜ん!

穂木の「西瓜」と、台木の「夕顔」完璧に癒合していますが、やはり色や繊維質なんかは違いますね〜接合面がクッキリわかります。面白いです!この後、力任せにねじってみましたが、全くもってちぎれません。呼び接ぎでも接ぎ木の性能は劣りませんよ!

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