家庭菜園の救世主となれ!小玉スイカのNEWスタンダード「ピノ・ガール」誕生!

西瓜やメロン、南瓜に胡瓜...。ウリ科のツル植物は色々ありますね。大きな西瓜や美しいネットメロンなど栽培してみたい品種はよりどりみどり!あれこれ考えるのは楽しいひとときです。

写真 で、菜園ビギナーの方はそれら野菜の栽培の仕方なんてわかりませんので、参考書やWEBで情報を集める訳ですが...。

記載されている内容はいわゆる「整枝栽培」の場合が多いです。


写真 親ヅル摘芯して...。子ヅル出して...。脇芽とって...。誘引して...。何節に着果させて...。何かスゴい難しそう、そして面倒くさそう...。そう、確かに作業工程は多いですね。

「整枝栽培」を別の角度から見てみると「いかに効率よく、最小面積で、早く、多く、品質の良い果実、を収穫するための技術」と言う事ですね。
なので、本職の農家はプロですので整枝栽培をされている方が多い訳です。


写真 我々家庭菜園家も、菜園は無限にある訳では無く、どちらかと言うと狭いスペースに、いかにいろんな物を植えてやろうと、あれこれ考える訳ですが、それ以上に「作業時間」が限られている訳です。

写真 毎朝、五時起きで菜園に行って作業して出勤...。が、出来れば良いのですけれど、菜園が遠い場合もありますし、連日の早朝作業でメンタルが持たない場合もあります。ウチのにわとり様...あなた様は、毎朝お早いですね...。

挫けている間も植物は待ってくれませんので、手遅れになりリカバー不能と言う事もありますよね(経験済み)。


家庭菜園は無理なく遂行するのが重要です。何もかも完璧を目指す必要は、まったくありません。ですので、整枝栽培は出来る範囲で少しずつチャレンジしていきましょう。
整枝栽培は理屈がわかって出来るようになってくると、野菜をコントロール出来るので、地味に結構楽しくなってきます。良く解らず無理してやると、ただの苦行になります...。


写真 「整枝栽培」と対局の位置にあるのが「放任栽培」(放置ではありません)整枝のように「放任栽培」を別の角度からみてみると「いかに労力をかけず、それなりの面積で、のんびりと、まあまあの果実、を収穫するための技術」です。
そして、栽培する植物の生理を良く理解して、特性を上手く引き出していくと、下手な整枝栽培よりクウォリティーの高い果実を収穫出来るのも放任栽培ですよ!(放置ではありません)


写真 「放任栽培」は奥が深い技術です。ここを極めると、やや整枝に近づいていく「半放任栽培」と言うやり方もあります。前置きが長くなりましたが、栽培する植物が真っ当に生育するよう最低限の管理を行い「放任栽培」をやってみましょう!(放置ではありません)

実際に栽培してみて思うのですが、恐らく歴代の小玉スイカの中で、いちばん家庭菜園・放任栽培に向いている品種ではないでしょうか。

写真 ピノ・ガールの品種特性として、「草勢が強く、ツル持ちも良く、バテにくい」と言うのが挙げられます。基本的に私は、スイカは大玉であれ小玉であれ整枝栽培を基本に家庭菜園をしています。

でも、各地のピノ・ガールの圃場を見るにつけいつも「この品種、放任栽培したらいいんじゃないの?草勢に余裕があるやん。」なんて思っていました。


そんな訳で、今回は実生で苗を自家育苗し、露地放任栽培をやってみましたよ。


写真 栽培時期はゴールデンウィークに苗を定植する至って普通の通常作。マルチのみ、トンネル無しで行きますよ。

苗は見ての通り自家育苗の実生苗。


実生苗の育苗にチャレンジ
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写真 栽培スペースは、幅120cmの畝に苗の左右に150cm、つまり120cm×300cmに、ぽつんとひと株と言う事ですね。

スカスカやな。でも!放任栽培を成功させる一番の近道は余裕を持って作ること!「苗が余ってるから詰めて植えとけ」と考えたら、ここですでに失敗していると思って下さい。
苗が余ったら菜園仲間にあげて下さい。


栽植密度・光合成について考える。
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初めだけ風対策として不織布でミニトンネル。(ここは春先、まさに暴風が吹くんですよ〜。油断していると突風が吹き荒れて、苗が揉まれて軸だけ残してちぎれて吹っ飛んでいき、畑の隅に溜まっていると言う悲しいことになるんです。)
不織布トンネルは急な日照りが来ても焼けたりしません、トンネルの開閉は不要。ツルがはみ出してくるまで放置します。


写真 活着後、元気にツルは繁茂していきます。当然放任栽培ですので特段何もしませんが、となりの畝に遠征されると具合が悪いので、その場合お帰り頂きます。

いわゆる「節度ある放任栽培」と言う奴です。


一度、だだっ広い畑に肥料をいっぱい入れて、好き放題スイカのツルを伸ばしたらどんだけ繁茂するか、一度試してみたいものですが・・・。今回は帰って下さい。


写真 定植して1ヶ月もすると、西瓜が着果しているのを見つけるかもしれません。しかし、定植してから40日は着果させず、根を張らす方に力を使ってもらいましょう。ここは「もったいない」を、グッとこらえて、摘果します。

下半身が強いと放任栽培にとってメリットが大きいです。特に後半の糖度上昇期に効いてきます。のんびりと丈夫に強く育てます。


店長のつぶやき...。
放任栽培をやっていると、まだ若いのに早々と着果してしまうことが、ままあります。菜園ビギナーであればあるほど着果した実を見つけたら、うれしいものです。(良く解ります)しかし、定植してから最低でも1ヶ月は経過しないと、果実を支えるだけの「根」の生育が追いついてきません。基本、野菜達は人間に食べられるために生育しているのでは無く、子孫を残すために生育しています。着果すると、養分の配分順位は「実」が上位に来ます。「根」を作るための養分は後回しになります。結果、後半の糖度上昇期になって、体を支えられる根量が足りなくなり、日照りに耐えきれずしおれてしまいます。(西瓜本人的には、このステージまで持ってこれれば、たいして甘くなくても果実内の養分で種子を充実させることが出来るので、しおれてもOKな訳です。)
写真 放任栽培において「根量」は、特に重要なファクターです。定植してから40日間、「根」作りを意識しましょう!(見えないけどね...。)


定植から40日が過ぎたら、いよいよ着果させていきますよ。交配は基本「色んな虫の皆さん」にやってもらいますが、朝の菜園巡回の時に雌花を見つけたら、人工授粉もやってみますよ!


写真 当日咲きたての雄花を摘んで、花粉はたっぷりと付けますよ!ちなみに、交配する雌花は、どのツルの何節に付いているとか、そう言うのは放任栽培では関係ありません。
子ヅルでも、孫ヅルでも、ひ孫ヅルでも、10節目でも、15節目でも、かまいません。問題は、交配時に体が出来ているか、です。(もっとも放任じゃ、どのツルかなんて解らないけれどもね)


人工交配にチャレンジ!

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写真 放任栽培ですので、あちらこちらに着果し始めますから、何らかの着果標識をつけないといけません。テニスボール位の果実を探して着果棒を立てていましたが、着果量が多いので面倒くさくなり途中からやめました〜(^_^;)。

皆さんは私のようにめんどくさがらずに、必ず着果棒を立てて下さいね!


一般的な通常作の家庭菜園であれば、ザックリ「ピノ・ガール」の登熟日数は35日で見て頂いて結構です。テニスボール大で約7日目ですので、28日後が収穫の目安となります。

着果棒は何でも良いです。今回は100均で売っている長めの洋蘭支柱の先に、白い布ガムテープを挟み張りした、簡単でコスパ抜群の自作品。マジックでメモを書き込めて便利。

写真
開花日と収穫予定日をマジックインクでデッカく書いておきましょう。


積算温度と着果標識のお話し
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さてさて、そんなこんなしているウチに初めに着果したピノ・ガールが、あと2週間程度で収穫かな〜なんて思っていると、脇芽があちこちから伸びてきて、上に乗っかってきます。これは、見つけ次第除去していきましょう。あんまり厳密に考えなくても良いです。上に乗っかっている葉色の薄いツルを、随時適当にカットしておきましょう。あんまり元から切ろうと思わなくて良いですよ、見えてる範囲でOKです。大体でOK!
この脇芽を放っておくと問題なのは光合成の効率。現時点で一番仕事をしている葉は、この脇芽の下になっている色の濃い葉っぱ。この一番仕事をしている葉が脇芽で陰になると、糖度が乗らないのです!この葉には、せっせ、せっせと光合成をして糖度を上げてもらわねばなりません。通路横や畑の端におる奴らは、邪魔にならなければ放っておいて構いません。

明るさ・光飽和点について
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写真 初めの5〜6個は着果棒が付いています。テニスボール大になるのに約1週間として逆算、着果から35日の果実から順次収穫スタート!さ〜て、行きますぜ!

指でコンコン叩きながら収穫適期の打音を覚えていきますよ。
(ここは真剣に五感を研ぎ澄ませ体で覚えていきます!)


写真 1個目。
コンコン・・・。「ふんふん、こんな感じか。」


写真 2個目。
コンコン・・・。「ふふ〜ん、こんな感じか。」


写真 3個目。
コンコン・・・。「はいはい、こんな感じか。」


写真 4個目。
コンコン・・・。「うんうん、こんな感じか。」


写真 5個目。
コンコン・・・。「ほいほい、こんな感じか。」

ウム!何となく今年の収穫適期の打音「コンコン感」がつかめてきました。以降、この「コンコン感」をもってカンによる収穫に移行します。


写真 6個目。
コンコン・・・。「うんうんOK」


写真 7個目。
コンコン・・・。「ふ〜ん?たぶんOK」


写真 8個目。
コンコン・・・。「ふんふんOK」


写真 9個目。
コンコン・・・。「はいはいOK」


写真 10個目。
コンコン・・・。「んん〜ん?ちょっと遅れたか、まあOK」

以降、面倒くさくなり写真を撮るのをやめました〜(^0^;)。でも、晩夏の栽培終了までで、たぶん20個位収穫したと思います。


1〜5個目までは着果棒を立ててあります。当然ながら収穫適期は外しません。放任栽培にも関わらず空洞もなく、恐らく糖度は12〜13度はありました(計測していないけど美味しかったから、たぶんある)。で、ここからがピノ・ガールのスゴいところです。カンによる収穫に移行した6個目〜推定20個目まで、果実の大きさには差はあれど、実に1個も収穫期を外しませんでした。(20個も穫れること自体がちょっと普通の品種とは違うね。)
信じられますか?1個もですよ!ありえん!今までの私の常識ではあり得ない事です。

まあ、偉そうなことを言ってもね、私も毎年カンで収穫した物は、たまには外すんですよ「いや〜これはちょっと暑い日が続いたから〜云々」などと外した理屈をこねてみたりしてね・・・。(だから着果棒は立てないとイカンのですよ!)


写真 でも、何十個もピノ・ガールを食べまくっているうちに、何となくその理由が分かってきました。

それは、この品種が、
「収穫幅が後にかなり余裕がある」
と言う事と
「収穫後の棚持ちがやたら良い」
と言う事。


普通、小玉スイカだったら収穫して1週間も10日も常温で、成りツルが枯れてカリカリになるまで、何なら少し外皮の色が黄ばんでくるまで倉庫に転がしておいたら、果実内はうるんでブニュブニュになるもんなのですが、これが「なんともない」んですわ。普通なんです。
「は?」って思うぐらい普通なんです。食感も良いです。タネまわりはほんの少し粒状感はありますが、何と言う事はありません。シャクンシャクンです!


つまり、恐らくはカンで収穫した物の中には普通に考えたら「穫り遅れ」の果実がいたことでしょう。(カンやから・・・農作業で疲れている日もあるから・・・朝、出勤まで時間が無くて焦る日もあるから・・・)
でも、ピノ・ガールの収穫幅の広さがリカバーしてくれました。 そして、食べきれずに放置されていた果実も、ピノ・ガールの棚持ち性の良さがリカバーしてくれました。(色々作っていると食べきれへんねん、家庭菜園あるあるですよね)


写真 一個人の家庭菜園家として(あくまでも私の個人意見として)

恐らく歴代の小玉スイカの中でいちばん放任栽培・家庭菜園に向いているのは、現時点では、この品種だと断言します。
さらにピノ・ガールは「マイクロシードタイプ」です。ノーストレスでグイグイ食べられます。


これは良いです、良い品種です。我が家の家庭菜園において小玉スイカは「ピノ・ガールの露地放任栽培」が毎年の「ひと枠確定」です。商売抜きでお薦めします。育種の進歩を垣間見る品種であること請け合います。


写真 あと、別に整枝栽培を否定しているわけでは全然ありませんよ!同時進行していた4本4果/5本5果もバッチリ出来ています。整枝は糖度が高いですよ〜♪果実のクウォリティはやはり整枝栽培のほうが上ですね〜。西瓜栽培に慣れてきて、労力に余裕があれば、ワンランク上を目指して整枝栽培にもチャレンジしてみて下さいd(^-^)ネ!

(放任・整枝合わせてたった3株やけど約30個、同時進行のムーンライトメロン放任栽培も相まって、食べきれへ〜ん!)

で、例年「ピノ・ガール」の放任栽培は露地で栽培していた訳ですが、今回は同じく放任栽培の「ムーンライト」と畝を半分ずつ使用する事にして、トンネル+マルチで栽培してみましたよ。

はいはい〜♪例年のごとく良く出来ますピノ・ガール、貴方やはり最高ですっ!さて、例年の露地と比べて収量としては同程度と言った所です。今回は着果棒もしっかり立てましたよっ!(見逃しもちょっとあったけど...。)糖度も12度前後で安定しています。しかし、トンネルがあると葉の痛みがやはり少ないです。そして、今年は収穫開始少し前位からバカみたいなゲリラ雨が降ったと思えば、1週間ずっと雨続きとか、なんやねん!と言いたくなるような「異常気象」をくらった年でした。しかし、トンネルのおかげでダメージはかなり軽減されたのだと思います。そして、あれだけ雨に降られても圃場での裂果はゼロ(カラスに2個やられたけれど...)。もし、余裕があったら雨除けのトンネル栽培もアリですよ!


写真 実際問題、ピノ・ガールは露地栽培でOKです。でも、雨除けのトンネルがあると、葉も傷まないし、病気にもかかりにくい。園主の精神衛生上良いですね!

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